| 放浪の旅七日目、天地と魎皇鬼は日本海に面した北陸地方に滞在していた。
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| 岡山にいたときとは何か気持ちの良さが違っているような気がした。
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| 天地と魎皇鬼は金沢の町を見て回ることにした。江戸時代の頃の風景を思わせるような茶
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| 店などが天地の気持ちを落ち着かせた。そんなある日天地が旅館へ戻ろうとしたとき見覚
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| えのあるような人が天地の前を横切った。
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| 天地はその見覚えのある人影を追って町をさまよった。そしてその人影が小さな茶店に入
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| っていくのを確認した。そして天地はその茶店に入っていった。
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| 茶店の番台のすみにその人はいた。
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天 地 | 「き、君、もしかして・・・」
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??? | 「あ、あなたは・・・」
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天 地 | 「美紗緒ちゃん」
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美紗緒 | 「どうしてここに・・・天地さん」
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天 地 | 「それはその・・・・・・・・」
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美紗緒 | 「天地さん・・・」
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| 天地と美紗緒が会話しているところ店長が話しかけてきた。
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店 長 | 「知り合いかい美紗緒?それだったらしばらく休んでいいから相手をしてあげなさい」
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美紗緒 | 「ありがとうございます、店長」
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| 天地と美紗緒は茶屋の外の椅子の所に腰掛けた。
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| そして熱いお茶を飲みながら美紗緒ちゃんがなぜここにいるのかを聞いた。
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美紗緒 | 「実は半年前天地さんや砂沙美ちゃんに別れを告げてから数日後にお父さんとお母さん離婚
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| しちゃったの・・・お母さんそれから仕事を辞めてここの近くでパートをして働いている
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| んだけど、今までの蓄えがそこをつきてきて・・・お母さんだけにくろうかけられないか
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| ら私もここのアルバイトはじめたの」
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| 美紗緒は寂しげに天地に統べては話した。
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美紗緒 | 「でも毎日が楽しいです。でも砂沙美ちゃんがいないのが少し寂しいです」
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魎皇鬼 | 「ミャオ」
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| 美紗緒は魎皇鬼を膝の上に置いて微笑みを浮かべた。
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天 地 | 「楽しくやっているんだ美紗緒ちゃんは」
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美紗緒 | 「そういえば天地さんはどうしてここに?それもお一人で?」
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天 地 | 「いや・・・ちょっと自分を見つめ直そうと思って・・・」
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美紗緒 | 「・・・」
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| 話し始めて一時間、既に空は夕暮れの空となっていた。
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天 地 | 「美紗緒ちゃん、今日は楽しかったよ」
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美紗緒 | 「私も楽しかった。天地さんこれからどうするんですか?」
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天 地 | 「とくに決めてないけど」
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美紗緒 | 「でしたら天地さんしばらくここにいてくれませんか・・・」
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天 地 | 「え?」
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魎皇鬼 | 「ミャ?」
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美紗緒 | 「いえ別にお忙しいのでしたら・・・」
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天 地 | 「いえ別に忙しい訳じゃありません。そうですねしばらくここにいましょう」
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美紗緒 | (よかった。また天地さんと一緒に入れる・・・)
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| こうして天地はしばらく北陸の金沢の町に骨を埋めることになった。
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