??? | 「本当に行くの・・・」
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??? | 「ああ、任務だ、すぐに帰ってくる」
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??? | 「絶対だよ・・・」
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??? | 「ああ」
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| 男はそういって任務を遂行するために都に向かった。
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| しかし男はその日から姿を消した。彼女は男を待ち続けた、ずっとずっと・・・
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| そして五十年の年月が経った。
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| そして・・・
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桜町晶 | 「弓ちゃん、梢ちゃん、はやくはやく・・・」
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笹原弓 | 「晶ちゃん、早いよ〜」
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松山梢 | 「そうだよ、急ぐ必要なんか無いじゃない」
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桜町晶 | 「駄目駄目、急がないといなくなっちゃうよ」
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弓&梢 | 「え〜〜」
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| 桜町晶、笹原弓、松山梢の三人は地元に新しくできた聖神学園(女子高校)に通う学生で
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| ある。いまは学園の裏にて昆虫研究のためかぶと虫やくわがたを探しているのである。
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| そして日が暮れるまで学園裏の昆虫を研究していた。
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笹原弓 | 「もう〜まだやるの?」
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桜町晶 | 「まだまだ〜」
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松山梢 | 「私達先に帰るから晶ちゃんも早く終わらせるのよ〜」
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桜町晶 | 「はいはい」
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| 二人は家に帰る。
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| 晶は没頭するあまり山の奥深くまで探索を続ける。まだ山には雪が少々残っている。
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| 夕方も過ぎてきたためあたりは暗く寒くなってきた。
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桜町晶 | 「そろそろかえろっか・・・」
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| ふと我に返り、晶は家に帰ろうとする。
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| しかし・・・
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桜町晶 | 「キャーーーーーーーー」
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| 古井戸であろうか、地面に穴があいており晶は穴の奥深くまで転げ落ちる。
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| 晶は少しの間気絶する。
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桜町晶 | 「う、うう・・・」
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| ゆっくりと目を開ける。
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| そして自分が穴(古井戸)に落ちた事を思い出す。
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桜町晶 | 「どうやったらでれるかな・・・・・・」
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| 力ある一般男子とかなら壁をよじ登っていけるであろうが、とくに力もない晶にはとうて
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| い無理である。
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| 困って何のあてもなく項垂れて(うなだれて)いたところ、壁の横から風が差し込んでく
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| るのを感じる。
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| 壁をさわってみると土が凍っているものの手で書き出せないほどではない。迷っている暇
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| はない、僅かな可能性にかけて土をかき分ける。
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| そして壁が完全に崩れて道に繋がった。
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| 体低くしながらその道を進んでいく。
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| 服も顔も土まみれになりながら・・・
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桜町晶 | 「一体どこまで繋がっているのかしら・・・もう手が痛くてこれ以上酷使できないよ・・・」
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| 行き着いた先は一面氷の部屋だった。
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| ちなみに古井戸のでは明かりが無く何も見えなかったので携帯電話のライトを頼りにする。
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桜町晶 | 「ここは・・・」
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| 辺り一面の氷に驚く。
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| そして氷の道を歩いていたら滑って転ぶ。
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桜町晶 | 「あいたたたたたた・・・あっ・・・」
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| 晶の床下の氷の中に何か黒い物体があった。
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| ようく見てみるとそれは人であった。
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桜町晶 | 「・・・死んでるのかな?・・・あ゛」
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| 先ほど転けたはずみで床の氷にひびが入る。
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| そして氷はさけて床下の人の顔がむき出しになる。
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桜町晶 | 「・・・お〜い、生きてますか〜、って氷づけになってたら死んでるか・・・」
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??? | 「うおおおおおおおおおおお」
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| パリーーーン
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| 男のまわりを覆っていた氷は完全に砕けてる。
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| しかし男はそのまま倒れる。
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| 極度の体温低下によるものである。
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| 晶は制服の上にかけているものを男にまき体を冷やさないようにする。
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| しかしそれもあまり役には立たなかったため自分自身の体温で暖めだした(服は着ていま
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| す)
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| そして男は再び目を開ける
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| さらに男は上半身を上げる。
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??? | 「・・・俺は・・・・・・君は・・・神奈(しんな)?」
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桜町晶 | 「しんな?違うよ、私は晶」
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??? | 「あきら?そうか、いや知り合いに似た人がいたもので・・・」
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桜町晶 | 「ところであなたは?」
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??? | 「俺か?俺の名は山崎正司」
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桜町晶 | 「山崎正司さん」
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正 司 | 「ああ」
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桜町晶 | 「ところで何でこんな所に凍りづけになっていたんですか?」
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正 司 | 「都に斥候として赴く途中に爆撃を受けて、井戸に転げ落ちた所までは覚えているのだが・
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| ・・」
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桜町晶 | 「爆撃?そんなこと最近起こったこと無いよ、それに戦争なんて五十年前に終わっているし」
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正 司 | 「戦争は終わった!!!五十年前!!!・・・」
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| しばらく考え込んで色々整理した後全てを理解する。
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正 司 | 「俺はここで五十年も眠っていたのか・・・」
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桜町晶 | 「よく死ななかったね〜」
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正 司 | 「体は鍛えてはいたが・・・」
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桜町晶 | 「ふふふ・・・」
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正 司 | 「所であんたはなぜここにいるんだ?」
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桜町晶 | 「あ、それは・・・」
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| 自分がこうなった経緯(いきさつ)を話す。
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正 司 | 「そうか、なら俺がなんとかしよう」
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| そういって晶が来た道を通り、古井戸の下の部分まで辿り着く。
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桜町晶 | 「どうやって登るの?」
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正 司 | 「俺の後ろにつかまってくれ」
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| 晶は正司の肩の上につかる(おんぶ状態)
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正 司 | 「ではいくぞ」
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| 正司は壁に手をかけながら次々と登りだした。
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| 行き着く暇もなくあっという間に登りおえる。
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正 司 | 「これでもう大丈夫だ・・・・・・」
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桜町晶 | 「あの・・・これからどうします?行くあてはありますか?」
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正 司 | 「いや、とくにないが・・・五十年も立ったんではもう知り合いは生きているのかもわから
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| ない」
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桜町晶 | 「じゃあ・・・私の家に来ません?」
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正 司 | 「・・・ああ、いいけど」
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| そうして晶と正司は桜町家に向かった。
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