| 山崎正司は仕事が休みのため麓の街に出向いている。
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| 貰ったばかりの給料でバスに乗って港町まで向かった。
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正 司 | 「・・・・・・」
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| バスに座りながらただじっと外の風景を見続ける。
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| 過去のことを忘れさせてくれるような思いにかられる。
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| しかし運命は正司の思うようには行かない・・・
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神 那 | 「お久しぶりです・・・」
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正 司 | 「もう会わないようにしようと思っていたんだが」
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神 那 | 「五十年経ってもあなたのことを忘れることは出来ません」
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正 司 | 「・・・しかし今の俺は・・・」
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神 那 | 「わかっています、今のあなたには桜町晶さんがいるんですもの」
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正 司 | 「・・・・・・」
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| バスは停留所に泊まる。
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神 那 | 「私はここでおります、それでは・・・」
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| 神那はバスからおりる。
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| バスは港町に向けて走り出す。
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正 司 | 「・・・さっきから殺気が出ているぞ」
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??? | 「・・・・・・気づいていましたか私が刺客だと言うことを・・・」
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正 司 | 「だてに血生臭い時代を生き抜いてはいないよ」
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??? | 「そうですか・・・ではここでやりますか、丁度バスの位置も森の奥深いところですから」
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| 男は運転手に合図を送る。
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| 運転手も刺客の一味であった。
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正 司 | 「外でやろうか・・・」
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??? | 「ええ、ここでは動きづらいですからね・・・」
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??? | 「刺客ですから二人係で行かせて貰います」
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正 司 | 「構わないよ、黒崎の汚いことにはなれているよ」
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??? | 「ではいきましょうか・・・霄、加減は抜きだ」
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神輿霄 | 「わかっています、根津さん」
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| 三人は外に出る。
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| あたりは静かであった・・・ただ木の葉が風で靡く(なびく)だけ・・・
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| 正司は両手から冷気を発生させ臨戦態勢。
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| そして・・・
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| 霄と根津は左右に散る。そして森の茂みに姿を隠す。
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正 司 | 「無駄だ」
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| 正司は殺気のする両方向に冷気弾をとばす。
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| とばしたところから姿を現す二人。
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根 津 | 「お前の冷気のことを調査済みだ!」
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| 根津は隠し持っていた小型バーナーで炎をぶつける。
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神輿霄 | 「死ねーーー!!!」
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| 霄はその背後から正拳を突き出す!
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| 正司は防御に徹する。そして両手に力を最大限に込める。
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正 司 | 「超樹氷!!!」
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| 両手から相手に向けて次々と氷が生み出され、二人に絡み付く。
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根 津 | 「く、くそ、くそ、くそ」
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| 根津は必死に炎で溶かそうとするも全く効果がない。
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神輿霄 | 「うぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!」
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| 霄に絡み付く氷にひびを入れる。
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正 司 | 「無駄だ・・・」
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| 正司は氷ごと二人を担ぐ、かなりの怪力である。
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| そして二人を林の坂に投げ飛ばす。
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根・霄 | 「うああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・」
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| 二人をやっつけた。
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正 司 | 「しつこい奴だ、黒崎・・・」
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| 正司はその場を立ち去ろうとしたとき地面に財布が落ちていることに気づく。
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正 司 | 「あの二人のどちらかの財布か・・・・・・まあ警察にでも届けておくか・・・」
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| 財布の中を調べて見ると神輿霄の免許証(大型二種取得済み)とお札が少々、そして一枚
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| の写真が入っていた。その写真には女性が写っていた。神輿霧の顔が・・・。
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正 司 | 「奴らにも想う人がいる・・・か」
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| 一人寂しげに歩いて街に向かう・・・。
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| 茂みの少し離れたところで神那がその様子を見つめていた。
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神 那 | 「またあの人は正司さんを・・・・・・止めなくては・・・」
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| 神那は郷里に帰る。
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| 正司はようやく街にたどり着く。
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正 司 | 「さてと、どこへ行こうか・・・とりあえず交番でも探すか・・・」
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| 交番探して商店街を彷徨い歩く正司。
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| 途中、街で一人の若者と女性が戦っているのを見かける。
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| そこには人集り(ひとだかり)が出来ていた。
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亮 太 | 「いい加減しつこいよ、神輿先輩」
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神輿霧 | 「あなたが空手部に戻ってくれると言うなら止めても良いわよ」
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亮 太 | 「嘘だー空手部にいたとき思いっきり扱いて(しごいて)いたくせにーー!!!」
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神輿霧 | 「問答無用!!」
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| 商店街でももはや風物詩と化した亮太と霧との戦い。
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正 司 | 「・・・」
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神輿雫 | 「もう姉さんったら懲りないんだから・・・」
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正 司 | 「写真の人に、その妹か・・・すみません」
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神輿雫 | 「はいなんでしょうか?」
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正 司 | 「落とし物です・・・」
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神輿雫 | 「あ、それはどうも・・・あれ?」
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| 正司は一瞬のうちにその場から姿を消した。
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| 商店街のはずれ・・・。
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正 司 | 「あーいう騒がしいところは苦手だ・・・」
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| 正司は再びあるところへ目指し手足を進める。
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| 女性向けの装飾屋に・・・。
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店 員 | 「いらっしゃいませ・・・って男か」
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正 司 | 「ある人にプレゼントを買いたいんだが」
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店 員 | 「あ〜そういうことでしたらどうぞどうぞ色々見ていってください」
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正 司 | 「今時の女性にはどういうものが喜ぶと思いますか?」
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店 員 | 「そうですね・・・」
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| 二人は小一時間ほど話し合う。
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| そして一つのアクセサリーを買う。
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| それは静寂を思わせるような淡い水色の首飾り。
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正 司 | 「さて、用は済んだ帰るとするか・・・」
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| さすがに山まで帰るには距離がありすぎる・・・バスを探すことにした。
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| 駅に向かってバスを探していると一人の黒づくめの男がこちらを見ている。
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| 先ほど倒した神輿霄である。
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神輿霄 | 「山崎、お前の大切な女性を誘拐させてもらった・・・」
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正 司 | 「何、貴様」
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神輿霄 | 「返して欲しければ黒崎家まで来い」
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正 司 | 「く、わかった、だが一つ聞きたいことがある」
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神輿霄 | 「なんだ」
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正 司 | 「バスが終電で終わってしまったから送ってはもらえないだろうか」
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神輿霄 | 「おい・・・まあ良いだろう俺も戻るところだからついでに送ってやる」
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| 正司と神輿霄は黒崎家に向かって車を走らせる。
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