過人/漆話

劣滅

桜町晶「こ、ここは・・・」
    晶が気がついたときには豪華な屋敷の一室で椅子に座らせながら頑丈な縄で縛られている
    状態になっていた。
英 司「気がついた過去娘よ・・・」
    晶の前には年老いた英司が立っていた。
桜町晶「沙織さんのおじいさん、どうしてこんな???」
英 司「君には悪いと思っているが、奴を誘き寄せるのに必要でね」
桜町晶「奴?いったい誰を・・・」
英 司「君のよく知る男だよ・・・」
桜町晶「!」
    そして部屋に両手を神輿霄ともう一人の黒づくめの男に押さえられた山崎正司がつれてこ
    られた。
英 司「きたか・・・手を離してやれ・・・」
    霄ともう一人の男は正司の手を離す。
正 司「余裕だな英司」
英 司「ふふふ、余裕か・・・」
    部屋から霄ともう一人の男は出て行く。
英 司「まさか貴様が生きていようとはなあ」
正 司「やはり貴様の仕業か・・・」
英 司「あれで死ななかったとはなあ、まさか五十年もの間氷漬けになっていたとは・・・」
正 司「貴様の命令で本部に向かったが、まさか通路まで指定していたことが今思えばおかしなこ
    とだったな」
英 司「ふ、だがそのおかげで私はなんなく神那と結婚することができた」
正 司「・・・・・・」
英 司「だが今のお前にはこの女がいるではないか」
正 司「・・・・・・」
英 司「だが、それも今日で終わりだ、二人してあの世へ行くがよい」
正 司「なっ・・・」
    ブフォーーーン
    正司の腹に凍てつく闇がねじり込まれる。
正 司「な、なんだこれは・・・・・・」
英 司「貴様が氷の力を手に入れたように儂も力を手に入れた・・・神那と結婚してからなぜか腕
    が疼き(うずき)だす・・・占い師に聞いてみれば貴様の呪いと言うではないか・・・
正 司「いくらその力があろうとお前は老体だ・・・」
    正司は両腕から強大な冷気を発生。それにより部屋中のものに霜や氷がはりつく。
正 司「くらええええええ!!!」
    プシィーーーーーーン!!!
    カシィーーーーーーン!!!
    二人の氷と闇はぶつかり合う・・・
英 司「だが・・・」
    ぶつかり合った手と反対の手には拳銃が握られていた。
英 司「死ね」
    バタン
    チュドーーーン
    拳銃の音の前に扉の開く音があった・・・
    そこには神那が正司を庇って(かばって)胸に鉛玉を受けていた・・・。
英 司「な、な、な、な、なぜだ・・・・・・」
正 司「し、神那・・・」
神 那「ごめんなさい・・・私の償いはこれだけしか・・・・・・」
    目を閉じる神那。二度とその瞼は開くことはなかった。
英 司「うああああああああああああああ」
    英司は暴走する。
    闇の力は部屋中のものをことごとく破壊。その一閃が晶のほうに向かう。
正 司「あぶない!」
    正司は晶を庇い、闇の波動を被弾。
    背中はどす黒い闇に犯される。苦痛が走る・・・。
桜町晶「正司さん・・・」
正 司「怪我はないか・・・」
桜町晶「でも正司さんのほうが・・・」
正 司「ああこれぐらい・・・」
英 司「死にさらせーーー!!!」
正 司「貴様ーーーーー!!!」
    正司は怒りの一撃を英司に向かってぶつける。
    それは今まで見たことがないようなまがまがしい光を輝かせる。
    まるで紫水晶のような・・・
    英司は強固に氷漬けになる・・・
    そして・・・
    正司と晶は何とか屋敷から脱出。
    屋敷には神那の亡骸と英司の氷漬けはなぜか見つかることはなかった。
    屋敷に住む沙織は母が所有する別荘に住まうことになる。
    神輿霄は屋敷から姿を消す。
    一時期村で大騒ぎとなったが一日一週間とたつと人々の記憶から消えていった。
    そして・・・
正 司「・・・・・・」
    桜町家の屋根にて眠りについている。
    そこに晶が背後から訪れる。
桜町晶「どうしたのこんな所で?」
正 司「ああ、これから俺はどうなるのかなとおもってな」
桜町晶「そんなの決まっているじゃない」
正 司「なんだ?」
桜町晶「わたしと・・・」
正 司「まだ結婚はする気はないぞ」
桜町晶「えっ・・・」
正 司「お前が卒業するまで待っているよ」
桜町晶「・・・」
    晶の顔は幸せの笑顔に変わる。
    そして正司は晶の顔を自分の胸に引き寄せる。
正 司「いつまでも俺たちは一緒だよ」
    お互い目を閉じる。
桜町晶「うん・・・」 
正 司「いつまでも・・・・・・」
大 作「こらーお前たち屋根裏にのぼるなんて危険だぞ!!!」
    下からお邪魔役登場。
正 司「すまない親方」
大 作「これからお得意様の所に行くからお前も直ぐに支度しろ」
正 司「らじゃ〜、晶行ってくるよ」
桜町晶「うん、頑張って来てね」
正 司「ああ・・・(何か気なることがあるが、まあいいか・・・)」
    何か気が晴れないものがあるものの、仕事に向かう正司。
正 司「仕事でもして吹っ切れるか・・・」

あとがき「ゲスト・桜町晶」
ITK「多分次話辺りで完結予定、まだ事件は結末を迎えておりません」
桜町晶「どうなるんですか?」
ITK「・・・・・・」
桜町晶「どうしたの?」
ITK「実は一年前のストーリー設定ではここまでしか決めてなかった・・・・・・」
桜町晶「・・・」
ITK「本来のエンドは正司も氷漬けになって終わりのはずだったんだけど、それじゃあありきた
    りだと思いまして」
桜町晶「じゃあ新しいストーリー設定では?」
ITK「二年後に一気に飛びます(笑)」
桜町晶「い、いきなり二年後・・・」
ITK「はい、そこで・・・」
桜町晶「そこで?」
ITK「まだ秘密(てへ)」
桜町晶「・・・・・・」

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