過人/捌話

感知

    正司と晶は山の中に一軒しかない本屋に来ている。
    二人は建築関係の本を探しにやってきた。
    正司にもっと建築の勉強をさせて、一人前の大工になれるようにするためである。
桜町晶「正司さん、この本なんかどうです?」
正 司「あんまし小難しい事は覚え切れんぞ・・・なんせ五十年も眠っていたからな」
桜町晶「だめだめ、この本は正司さんの為になるの」
正 司「はあ、この年になってまで勉強するとは思わなかった・・・」
桜町晶「うちの経費で買うんだから遠慮しないで」
正 司「・・・」
    呆れる正司。
    しばらくあちこち建築関係の本を探すも、飽きてきたのか他の本も読み漁りだす。
桜町晶「あ、いっけない、お父さんに頼まれた工事用具買わなきゃ」
正 司「じゃいってこいよ、俺は暫く本でも読んでいるから」
桜町晶「わかった、でも建築以外の本は買ってあげないよ」
正 司「はいはい」
桜町晶「じゃあちょっと行って来るね」
    晶はそそくさと本屋をあとにする。
正 司「さてと・・・ん?」
    何やら視線を感じる。
    視線の向こうに何やら人影が見える。
正 司「別に殺気は感じないが、何やら妙な視線だなあ・・・」
    ジロジロ
    人影はちらちらと正司を見つめる。
正 司「・・・」
    正司は視線のする方へ足を進める。
???「あっ・・・」
    見つかったと認識したのか、急に本屋から逃げる。
正 司「・・・なんだったんだ・・・?」
    そしてしばらくして晶は本屋に戻ってくる。
桜町晶「どしたの?」
正 司「誰かに見られているんだ」
桜町晶「誰に?」
正 司「知らん」
桜町晶「あっそ・・・」
正 司「とりあえず帰るか」
桜町晶「そうだね・・・って本は買わないの?」
正 司「う、気づいてたか」
桜町晶「むう〜」
    ポカポカ正司を叩く晶。
    そして二人は本屋を出る。
    一応何冊か建築の本は買う。半ば強制的に・・・
正 司「ところで工事用具って何を買ってたんだ?」
桜町晶「ペンチに金槌に釘に巻尺にマジックペンに鉋(かんな)」
正 司「で、それを俺が持つと言う訳か?」
桜町晶「当たり〜、びびっときた?」
正 司「誰でも分かるって・・・」
桜町晶「ふふふ・・・」
    二人は仲良く家に帰る。
    その二人をひそかに追い続ける者がいた。
???「ここがあの人の家ね・・・」
    二人は家には言っていくのを見計らって、その者は塀を越えて桜町家の庭園に入っていく。
???「・・・うちよりも広い庭ね、負けたわ」
正 司「何が負けたって?お嬢ちゃん」
???「わああああああああああ」
    いきなり背後より正司が現れたため悲鳴を上げる。
桜町晶「驚きすぎだよ」
正 司「だな、人の家に勝手に忍び込んどいて」
???「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、頼みますから殺さないで〜」
正 司「豪い(えらい)言われようだな・・・」
???「あわわわわわわ・・・」
桜町晶「で、あなたはなんでうちに忍び込んだの?」
???「えっと・・・」
正 司「・・・晶、警察呼ぶか?」
???「ひぃ〜ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
正 司「誤るのはもういいから・・・」
???「は、はい、実は私RA研究所に勤めている桂木早苗といいます」
正 司「はあ、自己紹介の次は?」
早 苗「私、非科学的な事を科学的に応用できるような事を研究しています」
正 司「非科学的?」
早 苗「はい、あなたのその氷の力、研究させてください」
正 司「やだ」
早 苗「即答ですか〜!!!」
正 司「俺はあんまし煩わしい事は嫌いだからな」
早 苗「そんな事言わずに〜」
桜町晶「三枝、葉月」
三・葉「はい」
    どこからとも無く現れる二人。
桜町晶「お客様のお帰りです」
三・葉「わかりました」
    二人は早苗を抱えて玄関前までお返しする。
早 苗「おぼえてろ〜!!!」
    早苗は桜町家を後にする。
正 司「・・・どこで俺の力を知ったんだ・・・」
桜町晶「世の中どこで知ったかわかんないからねえ〜」
正 司「まあいっか・・・」
    そして・・・
早 苗「兄い〜駄目だった」
???「阿呆かーー!!」
    ゴチン!!!
    頭部に拳骨一発。
???「なんとしてもつれてこなきゃ駄目だってあれほど念をおしただろうが!」
早 苗「兄い〜だって」
???「だっても糞も糸瓜もあるか!!!」
    ドゴシン!
    更にもう一発。
???「しかたない、今度は俺が直々に頼んでくる」
早 苗「いってらっしゃ〜い、兄い」
    ズゴドゴン!!!
    懲りずにもう一発。
???「お前も来い」
早 苗「あ〜れ〜」
    二人は桜町家へと向かって行った。

あとがき「ゲスト・桜町晶」
ITK「本当は八話完結でしたが、どうもラストを書くのにまだまだ時間がかかりそうなので延長
    します」
桜町晶「で、いきなり新キャラ登場・・・片方はまだ名前が出てませんが」
ITK「九話目で明かします。一応過人でもRA系のキャラを出したかったので書きました」
桜町晶「で、真の最終回はいつになるのですか?」
ITK「そうですねえ・・・らららで正司と晶を・・・以下略(前回雑記と同じ)」
桜町晶「いつになるやら・・・」
ITK「生きている間にはやります(笑)」
桜町晶「・・・心配だ・・・」

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