ららら/拾肆話

三重殺

    そろーり、そろり
    五月が住むマンションにてらららが訪れた。
ららら「うわあ〜高い・・・」
    ちなみに五月が住むマンションは十五階建ての港街の最大の建物である。
    港町に数少ない金持ちが住むマンションでもある。
ららら「あのーすいません」
    アパート前にいる警備員に訪ねる。
ららら「あの〜このアパートにマスターいますよね?」
警備員「マスター?」
ららら「あ、すいません、桜部亮太さんです」
警備員「いるいないの前に君は誰ですか?身分を証明していただかないとお通りできません。何か
    証明できるものでもありますか?」
    そう言われてらららは困り果てた・・・。
警備員「・・・できないの?お嬢さん?」
ららら「あ〜ん、マスター〜(泣)」
警備員「おわあ〜泣くなよ」
ららら「ひえ〜〜〜ん、証明できるものなんて無いよ〜(泣)」
警備員「あ〜どうしよう・・・」
    二人困り果てる状態であった。
上 司「どうしたんだ」
警備員「じつは・・・(中略)・・・と、いうわけで」
上 司「阿呆だなあ、そんなもんは訪ね相手に確認してもらえばいいだけだろうが」
警備員「あ・・・」
上 司「とっとと確認取れ」
警備員「わかりましたー!!」
    で、確認完了。
五 月「あら、いらっしゃい、今朝御飯作っているところ」
ばあや「あら、この子は先日・・・」
五 月「ええ、桜部家にいま住んでいる子よ」
ららら「初めまして、らららと呼んでください」
ばあや「これはこれはらららさん」
亮 太「おお〜なんできたんだ・・・ぐええ〜」
ほたる「ぐぅー(眠)」
    前日の猛勉強で二人は体力を使い果たしていた。
ららら「あの・・・大丈夫ですか」
亮 太「頭の中が文字と数字でいっぱいだあ〜」
五 月「つい数時間前まで勉強していてこういう風になっちゃったの・・・」
ららら「はあ・・・」
五 月「で、らららちゃんはどういった用事できたの?」
ららら「あ、澄子おばさんから着替えを持っていくようにといわれて・・・」
五 月「わかったわ、ちゃんとつたえとくね。しばらく連休だからビッシリ教え込むつもりだから」
ららら「災難ですねえマスター」
亮 太「そうだそうだ!」
五 月「そこ、煽らない」
亮 太「はい〜」
    そして朝食。
亮 太「これは?」
五 月「御飯に、納豆に、沢庵の漬け物に、鰺の開きに、あかだしの味噌を出汁に大根の味噌汁、
    菠薐草(ほうれんそう)のお浸しだけど」
亮 太「いや、うちはいつもパンと牛乳と目玉焼きが定番だったから、和食なんて久しぶりだなあ
    と思って・・・」
五 月「ああ、うちは根っから和食一筋だから」
ばあや「そのようになっております」
五 月「で、味はどう」
亮 太「・・・おいしいけど」
五 月「そう、よかった、久しぶりに作ったからちょっと心配だったの」
亮 太「うまくできて良かったなあ」
五 月「誉めてるの?貶して(けなして)るの?」
亮 太「誉めてる誉めてる」
五 月「ところでらららちゃんはどう?」
ららら「・・・なんだか・・・・・・美味しい・・・・・・・懐かしい味」
五 月「もしかしてお袋の味を思い出したの?」
ららら「わかりません、でもそうなのかもしれません」
亮 太「お袋か・・・よく考えたら、あの飛行機事故があってからあってないなあ〜」
五 月「十年前のあの事故ね」
亮 太「ああ、あのとき生存できたのは俺の家族と一人の少女だけだったからなあ・・・たしか髪
    の毛が水色っぽい子・・・・・・・・あれ」
五 月「亮太、もしかして・・・ってそんな偶然は・・・」
ららら「あの〜私、昔飛行機事故で重傷して、治療もかねてRAになったと博士が言ってましたけ
    ど、ちなみに一緒にのっていたお母さんは死んだって聞いたけど・・・」
亮 太「うわあ〜なんたる偶然・・・」
ららら「マスターの両親は?」
亮 太「親父は行方不明、お袋は今も病院で寝たきり・・・」
ららら「・・・・・・」
亮 太「そういえばその時からだなあ、腕から電気を出すことができるようになったのは・・・」
ららら「もしかしてその手は博士が治療したのかもしれませんね」
亮 太「どうして?」
ららら「むかし、博士が私の治療と同時に一人の少年を治療したことを言っていました。腕に後遺
    症が残っているようなので電気を発生して動くようにしたと聞いています」
亮 太「うそ〜、すごい偶然」
ららら「でもその時の治療は不完全だったみたいで・・・」
亮 太「えっ?」
ららら「で、もし博士の身に何かあったらその人の所に行けっていってましたけど、まさかそれが
    マスターだったなんて・・・」
亮 太「でも、なんで俺の所へ行けって?」
ららら「私の中の治療プログラムで修理しろと・・・、でも治療プログラムはまだ組み込まれてな
    くて・・・」
亮 太「じゃあ、俺の腕は一生このまま・・・風呂で感電しまくり・・・」
五 月「一回医者に診てもらったら?」
亮 太「そうだなあ、今度暇なときにでも・・・」
五 月「もし大金が必要だったら少し貸してあげるね」
亮 太「ありがとさん」
ばあや「五月御嬢様、私は奥様の所に用がありますから、何かあったら連絡してくださいまし」
五 月「わかったわ」
    ばあやは去り際に亮太の耳元で囁いた。
ばあや「変な気はおこさないでくださいね(笑)」
    亮太にそう囁いて外にでる。
五 月「亮太、ばあやは何か言ったの?」
亮 太「・・・お前に手を出すなって(笑)」
五 月「えええ・・・ええ・え・え・・ええ」
亮 太「安心しろって、何もっしないって」
五 月「・・・・・・それはそれで困るんだけど・・・・・・」
    その二人を見つめるほたるとららら。
ほ・ら「じぃぃぃ〜〜〜〜」
亮 太「わあっ」
五 月「あ、あああ、いつから・・・」
ほたる「最初っからずっと聞いてたよ」
ららら「マスターは五月さんだけのものじゃありません」
ほたる「お兄ちゃんは渡さないんだから!」
五 月「あらら・・・らららちゃんまで」
亮 太「ははははははは・・・」
ほたる「笑って誤魔化さない!お兄ちゃんはほたるのもの」
ららら「だめです、マスターは私の・・・」
五 月「ちょ、ちょっと二人とも・・・」
    亮太の体を引っ張り争う三人。
亮 太「お、おまえらいい加減にしろ〜!!!」
    亮太の叫びは三人には届かなかった。
    引っ張り合いはお昼まで続いたのであった・・・。

あとがき「ゲスト・ららら」
ITK「今回ちょっと、亮太の過去を出してみました、本当は過去のことはもっと先に出す予定だ
    ったけど、なんでか話の流れでこうなっちゃいました」
ららら「で、今後の展開は?」
ITK「そろそろ、本格的な展開にいけたらいいと思ってます」
ららら「具体的には?」
ITK「結局未定(笑)」
ららら「・・・・・・(笑)」

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