ららら/拾玖話

苦痛の叫び

    某研究所
ららら「・・・まさか港町の裏山の反対側にこんな施設があったんですね・・・」
ローズ「本当は木々が密集して目立たないようになっているんだけど、この前私と刹那が逃亡した
    ときに桂木博士がそこらじゅうなぎ倒したの」
ららら「派手に気が倒れてる・・・」
    半ば呆れるららら。
ららら「あそこの研究所にいるのね」
ローズ「ええ、なんとしても刹那を救い出すわ・・・」
ららら「その刹那さんってローズさんの何なんですか?」
ローズ「刹那は、私の新しい名前を名づけてくれた人、あらゆる格闘技を仕込んでくれた人、知識
    を広めてくれた人、そして私の大切な人」
    後半、僅かながら顔を赤く染める。
ららら「大切な人〜」
ローズ「あなたが考えているようなことはなにもないわ」
ららら「何も深く考えてないけど〜」
ローズ「・・・」
    恥ずかしさのあまりさっきよりも顔を赤く染める。
ローズ「と、とにかく研究所に乗り込むわよ」
ららら「あ〜うまく逃げた〜♪」
ローズ「・・・」
    ゴツン
    無言でらららの頭部に拳骨。
ららら「いたい〜」
    泣き出すららら。
ローズ「・・・あ〜なんでわたしこの子に力借りに行ったのかなあ〜」
ららら「ローズさんより強いから」
ローズ「はいはい・・・」
    ローズは呆れながらも研究所の裏手に向かった。
    そして人気を避けながら研究所に乗り込んだ。
    ちなみに研究所は2階建ての病院を思わせるような建物。
ローズ「多分牢獄にいると思うわ」
ららら「牢獄?」
ローズ「たまに不審な人が研究所に迷い込んで処置に困って牢獄に入れて飼い殺すのよ」
ららら「飼い殺す・・・」
ローズ「最低限の食糧だけ与えて生かし続けるのよ、実験もかねて」
ららら「ぞ〜〜」
ローズ「怖い?」
ららら「うんうん」
    顔をふりながらも脚をふるえさせるららら。
    怖い話が苦手な年頃である・・・・・・って何歳なんだらららは・・・。
    ローズとらららは牢獄のある部屋の前まで辿り着く。
    途中研究員の目を避けながら。
ローズ「ここが牢獄よ・・・ん?」
    ドアの向こうから叫び声が聞こえてきた。
温 朗「刹那よ、組織に逆らった罰は重いぞ」
    ビシィッ!!、バシィッ!!
    鞭で叩かれているような音がドア越しからも聞こえた。
ローズ「くう」
    思わずドアを開けようとするも、らららがそれを止める。
ローズ「なぜ止めるの」
ららら「中には叔父さん以外に何人も武器を持っているの」
ローズ「・・・御免なさい、少し感情的になってしまったわ」
ららら「天井裏から忍び込んだほうがいいと思うよ」
ローズ「そうね」
    早速天井裏に忍び込む二人。
温 朗「さあ刹那、ローズの電波周波数を答えろ(逃亡時に変更、ローズの居場所を探るため)」
刹 那「おまえに言うことはない」
    ゴシィー!!!
    温朗の拳は刹那の腹をえぐった。
刹 那「どれだけ・・・痛めつけられようとも・・・答える気はない・・・」
温 朗「若造が、わしを舐めるな」
    バシ!ドカ!ガス!
    永遠と刹那は殴り続けられた。
ららら「叔父さんってこんなにも酷い人なんだ・・・」
ローズ「温朗博士は人間のクズよ!」
ららら「・・・」
    日が暮れた頃、温朗と研究員は研究所から自宅へと帰路についた。
    研究所から全ての明かりが消える。
ららら「もういいんじゃないですか?」
ローズ「そうね」
    二人は屋根裏から刹那の部屋に降りる。
刹 那「やはり上にいたか・・・」
ローズ「気づいていたの・・・」
刹 那「おまえの考えていることぐらい、俺にはお見通しだ、ぐ・・・」
    傷が痛むのか喋ることすら苦痛のようである。
ららら「この人が刹那さん?」
刹 那「き、君はRA3」
ローズ「あ〜刹那、ちょっと力を貸してもらったの、ちなみにこの子の今の名前はらららよ」
刹 那「ららら・・・・・・」
ローズ「刹那、そんなことより脱出するわよ」
刹 那「そうだな・・・」
    ローズは刹那を担ぎ屋根裏から外へと脱出。
ローズ「いきましょ、ららら」
ららら「・・・ローズさん、先に行っててください、ちょっとここを調べたいの」
ローズ「そう、わかったわ好きにしなさい、でも気をつけてねここは危険な物がいっぱい置いてあ
    るから」
ららら「うん」
ローズ「私と刹那はこの町から離れるから、多分もう会わないと思うわ・・・」
ららら「はい、ローズさん」
ローズ「何?」
ららら「最後にひとつ、ローズさん達が組織を裏切った理由を聞いていませんでしたけど?」
ローズ「・・・ここで私がRAとなったと同時に、私の家族はここの研究所の人に実験体とされて
    殺されたの、つい最近になって刹那が話してくれたの・・・」
ららら「そうですか・・・」
ローズ「じゃあ、あなたも早く脱出するのよ」
    ローズと刹那は研究所から脱出する。
ららら「・・・・・・」
    らららはあたりの研究機材を見渡す。
    そして見る物もなくなり部屋から出ようとしたとき、ドアが静かに開きだした。
    そしてドアの向こうからこちらに向かって声を向けた。
???「貴様がRA3か・・・」
ららら「やっぱり研究所にいたんですね叔父さん」
温 朗「ばれておったか」
ららら「気配を消しても電波は消えないよ」
温 朗「ふっふっふっ」
    ドアは完全に開く。
    そこにはRA化した桂木温朗が立っていた。

あとがき「ゲスト・ららら」
ITK「う〜ん・・・」
ららら「どうしたんですかITKさん?」
    布団にうずくまっているITKの顔に自分の顔を近づけるららら。
ITK「地元に戻ってきたのはいいんだけど、雪は降るわ、霰(あられ)は降るわ、霙(みぞれ)
    は降るわで、無茶苦茶寒いっす〜ガクガクガクガクガクガク」
ららら「まあ北陸だから仕方ないですよ」
ITK「あらためて地元がこんなに寒かったというのを実感中」
ららら「ん〜らららがあっためてあげようか?」
ITK「えっ・・・(ま、まさか・・・)」
ららら「電磁波放雷!!!」
ITK「ぐぅえええええええええええええええぇぇぇ〜!!!!!!」

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