| らららが飛行機事故があった数日後のとある屋敷にて(詩雪五歳のとき)
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詩 雪 | 「聖零、はやくはやく」
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| 屋敷の庭で詩雪と聖零は楽しく遊んでいた。
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聖 零 | 「御嬢様、そんなに急いで走っては危険ですよ」
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| 桂木温朗の屋敷でメイド見習いとして従事する聖零。
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| このときわずか十五歳。
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| 両親のいない孤児として育った聖零は桂木温朗宅に八歳のときに引き取られる。
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| そこのメイド主任をしていた緒方さんの養子として住むことになる。
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| 詩雪の遊びや教育相手となっている。
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聖 零 | 「御嬢様、聖零をこれ以上困らせないでください」
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詩 雪 | 「いや〜、ここまでおいで〜」
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聖 零 | 「怒りますよ」
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詩 雪 | 「へへ〜ん」
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| と、屋敷の庭で鬼ごっこのふうを行っている。
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聖 零 | 「つかまえましたよ」
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| 聖零は詩雪をつかまえる。
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詩 雪 | 「あ〜あ、つかまっちゃった」
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聖 零 | 「もう御嬢様はお転婆なんですから」
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詩 雪 | 「えへへへ♪」
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| と、二人なごやかなやりとりをしていたところに一人の男が近づいてくる。
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??? | 「温朗さんいますか?」
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聖 零 | 「あなたは?」
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??? | 「温朗さんの知り合いです。温朗さんに頼まれていたものを私に来ました」
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聖 零 | 「そうですか、温朗様ならいまお出かけなので私がお預かりしておきましょうか?」
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??? | 「いえ、それにはおよびません」
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| 男はそういうと、包みの中からナイフを取り出す。
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| そしてそれは一瞬の出来事であった。
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| 男の払ったナイフは聖零の首をばっさりと切り裂いた。
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聖 零 | 「ぐ・・・あ・・・・・」
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| 断末魔も出る暇もないほど一瞬で聖零は倒れた。
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??? | 「次は貴様だ、息子の敵!」
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| 男は今度は詩雪に向かってナイフを向けた。
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| 詩雪はあまりの恐怖でその場を動くことが出来なかった。
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| しかし男はまってはくれない。ナイフは詩雪に向かって突き進んでいく。
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| ズバ!!
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??? | 「へっへっへっ・・・なに」
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| 男のナイフは詩雪ではなく聖零の腹に突き刺されていた。
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| 聖零は男のナイフを腹にえぐりこませながら男に近づいていく。
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聖 零 | 「御嬢様には手を出させない」
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| 聖零は自身の爪で男の目を貫く。
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??? | 「ぐおおおおおあああああ!!!!」
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| 男は両目を潰される。
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| そして間髪入れず男の顔切り裂く。
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??? | 「ぎやあああああああああああ!!!」
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| 男は立ったまま絶命する。
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| そして・・・
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緒 方 | 「旦那様・・・」
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温 朗 | 「なんてことを・・・」
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詩 雪 | 「聖零が、聖零が・・・」
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| 緒方に向かって泣きじゃくる詩雪。
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温 朗 | 「この男はつい先日病院で亡くなった子の親だ、どうやらわしのことを逆恨みしたようだ」
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詩 雪 | 「聖零、聖零・・・」
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温 朗 | 「詩雪、おまえは頭がいい子だ、いずれ聖零を生き返らすのだ」
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詩 雪 | 「生き返らす?」
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温 朗 | 「それまでわしが聖零を保管しておく、緒方良いな」
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緒 方 | 「はい、娘をお願いします」
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| 緒方の目からも涙がこぼれる。
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詩 雪 | 「聖零、私いつかあなたを生き返らせる」
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| そして詩雪は外国に留学し、短期間で大学を卒業したあと、RAの開発に携わる。
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| ・・・時間は戻る。
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聖 零 | 「詩雪様、朝ですよ」
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詩 雪 | 「んん、ええ」
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| 眠りから覚める詩雪。
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| 詩雪はいま岬の教会に寝泊まりしている。
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聖 零 | 「今日はいい天気ですから少し息抜きでもしてきてはどうですか?」
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詩 雪 | 「そうね・・・聖零」
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聖 零 | 「なんですか?」
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詩 雪 | 「・・・いつまでも私の側にいてね」
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聖 零 | 「詩雪様・・・」
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| 今日も教会には強い日差しが差し込む今日この頃。
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| ところ代わって亮太はというと
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亮 太 | 「さー明日、ようやく退院できるぞ」
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ららら | 「ずるい、ずるい、ずるい、らららも早く病院出たい」
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亮 太 | 「まだ包帯が取れるほど直ってないだろうが」
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ららら | 「ぷー」
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| ふくれるららら。
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亮 太 | 「しばらく寝てろよ」
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ららら | 「は〜い」
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| 亮太は用を足しにトイレに向かう。
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五 月 | 「亮太元気〜っていないわねえ」
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| 亮太とらららの病室にたずねてきた五月。
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ららら | 「ぷー」
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五 月 | 「どうしたのらららちゃん?」
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ららら | 「マスターなんて嫌い」
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五 月 | 「喧嘩でもしたの?」
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ららら | 「マスターだけ先に退院なんてずるい」
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五 月 | 「それは、仕方ないんじゃないの?」
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ららら | 「もうここにいるのも暇なんだもん」
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五 月 | 「だったら私お話でもする?今日は時間があるから」
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ららら | 「うんうん、そうだ五月さんに聞きたいことがあったんだ」
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五 月 | 「なに?答えられること?」
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ららら | 「五月さんマスターのことどう思います(直球)」
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五 月 | 「えっあっその・・・ぼそぼそぼそ(小声)」
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ららら | 「でもマスターはずっと私といるんだもん」
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五 月 | 「ず、ずっと・・・」
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ららら | 「そして将来らららとマスターは・・・ぽっ」
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五 月 | 「ぽっ???、ダメ、ダメダメ」
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ららら | 「どうして?」
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五 月 | 「え、あ、その・・・私も」
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ららら | 「私も?」
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五 月 | 「・・・好きだから」
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ららら | 「だってマスター」
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| 部屋の前で聞き耳を立てていた亮太。
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五 月 | 「・・・聞いていたの?」
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| 頷く亮太。
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亮 太 | 「別に今さらそんなこと聞いたからってどうってことないよ」
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五 月 | 「えっ?」
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亮 太 | 「小さい頃よく言っていただろ五月」
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五 月 | 「あ、あれは・・・・・・」
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| もう何を言っているのかわからない五月。
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| そして徐(おもむろ)に立ち上がり、亮太の近くまで歩いていく。
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| そして亮太の前で囁く。
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五 月 | 「馬鹿・・・」
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| 五月は病院から去っていく
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ららら | 「えへへへへへ」
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亮 太 | 「おまえなあ〜」
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| 悪びれる様子もないらららであった。
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