聖 零 | 「うああああああああああーーーーー」
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| 悪夢にうなされる聖零。
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| そして夢から強制的に目を覚ます。
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聖 零 | 「・・・・・・」
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| しばらく沈黙が続く。
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聖 零 | 「私は血に飢えている・・・獲物を狩らなければ・・・」
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| 聖零は深夜の町へと彷徨う(さまよう)
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| そして一つの明かりがついた家の近くまで来た。
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| そう、桜部家である。
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聖 零 | 「詩雪様には申し訳ないが、これ以上私の中の血を抑えられない・・・」
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| 聖零は持っていた長く鋭利な爪を服から出して手に装着。
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| そして・・・
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亮 太 | 「う〜腹が減った〜」
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| 夜中に少々お腹が減ったため台所をあちこちあさりまくる。
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| カップ麺一つ無かったので近くのコンビニへと出かけることにした。
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| 玄関で靴を履いていたところ、ドアの向こうから異様な殺気を感じる。
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亮 太 | 「嫌な気だなあ・・・」
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| 亮太がそう思っていたところ、突如ドアが切り刻まれる。
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| ズシィーーーーーン
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| ドアは一刀両断された。
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亮 太 | 「な、なんだ」
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| 亮太は近くに置いてあった箒をつかんで臨戦態勢に入った。
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| ドアの向こうで聖零はいまにも亮太を討ち取らんばかりの気勢を見せていた。
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| そして亮太は箒を相手に投げ飛ばす。
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| あっさりと聖零はそれを粉々にする。
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| その合間に亮太は両手の手袋を外す。
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亮 太 | 「誰だあんたは?」
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聖 零 | 「血を求めに来た」
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亮 太 | 「なんだって・・・」
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聖 零 | 「私と戦いなさい」
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亮 太 | 「こんなことしておいてただで帰れると思っているのか!」
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| 亮太は怒りを拳に集中させて聖零に向かっていかづちを放出。いかづちは聖零に直撃。
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亮 太 | 「どんなもんだい」
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聖 零 | 「・・・くっくっくっ、流石だ・・・」
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| 聖零はダメージを受けているも余裕の表情、むしろ不気味な笑みさえ浮かべている。
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聖 零 | 「これから私の本当の力を見せてあげます」
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| そういうと聖零の瞳は赤色へと変化していった。
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聖 零 | 「赤の眼発動!」
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| 亮太に向かって爪を突き刺す、亮太はブリッジでかわす。
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| 聖零の攻撃はさらに続く、乱れ飛ぶ爪が確実に亮太の体力を削ぎ落とす。
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| 亮太の体のいたるところから多数の爪傷が浮かび上がる。
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亮 太 | 「くう・・・」
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| 聖零の赤の眼は元に戻る。
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聖 零 | 「青の眼発動!」
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| そういうと聖零は空高く舞い上がる。ローズを倒したときと同じ技である。
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| しかしまわりは民家が多いためそのまま落下せず、屋根の上に登る。そしてそこから亮太
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| に目掛けて爪を突き刺す。
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亮 太 | 「うおおおおおおおお!!!!」
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| 亮太は素早く横に位置を移し、聖零の爪に目掛けて拳をぶつける。
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| バキッ!
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| 聖零の爪の大半を砕くことに成功。
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亮 太 | 「あぶないあぶない」
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聖 零 | 「くっ・・・ぐああ、ぐぎゃ、げづ・・・・・」
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| 聖零の言葉がおかしくなりはじめた。
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聖 零 | 「や、やめろ、わたしはまだここに・・・でてくるな・・・消えろ・・・」
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| 聖零は二重人格の持ち主である。
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| いま必死に本来の自分が凶暴な自分を抑え始めた。
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亮 太 | 「どうしたってんだ・・・」
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ほたる | 「どうしたの、お兄ちゃん?」
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| パジャマ姿のほたるが眠そうに目を擦りながら階段から下りてきた。
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亮 太 | 「ば、ばか、ほたる来るんじゃない!」
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聖 零 | 「ぐあああああ、ううう・・・紫の眼発動!」
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| 凶暴な自分が強固に第三の力を強制発動。
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| そして聖零はほたるに目掛けて突進。赤のスピード、青の跳躍力をさらに上回る音速。
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ほたる | 「え、ああ・・・」
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亮 太 | 「あぶない!!!!」
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| ブジュ!!
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| 聖零の破損した爪は亮太の背中に突き刺さった。
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亮 太 | 「うあああ・・・・!!!」
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| 幸い急所がはずれていたため、なんとかほたるを抱きかかえてその場から逃げる。
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聖 零 | 「・・・」
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詩 雪 | 「聖零!!」
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| 聖零の背後から詩雪が現れる。
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詩 雪 | 「何やってるのよ聖零、まさかもう一つの人格が現れたのね」
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| 詩雪は聖零の首枷をつかむ。
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| すると聖零はみるみるうちにもとの自分へと戻っていく。
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聖 零 | 「わ、私は・・・」
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| その場に倒れ込む。
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詩 雪 | 「やはりあなたは過去を引きずる運命なのね・・・」
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亮 太 | 「あんたは誰だ?」
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詩 雪 | 「桜部亮太さんですね、私は桂木詩雪。らららを超えようと研究しているものです」
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亮 太 | 「だからって何で俺の家を襲う、桂木?」
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詩 雪 | 「聖零が暴走してしまったため仕方の無かったことです、そして私は桂木温朗の娘です。ら
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| ららから聞かされていませんか私のこと?」
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亮 太 | 「聞いてるよ・・・」
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詩 雪 | 「今回の件は本当に申し訳ありませんでした、私がなにをしているのかも、あらためて後日
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| お話しいたします」
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亮 太 | 「後日?」
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詩 雪 | 「はい、らららを連れてここへ来てください」
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| 亮太に名刺を渡す詩雪。
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詩 雪 | 「あ、それと今回のことでの被害分はお支払いします」
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| 亮太に小切手も渡す。
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詩 雪 | 「では後日、ハウゼン、ガラス、お願い」
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| いつの間にか詩雪の背後に立っていた二人は聖零を抱えて去っていく。
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亮 太 | 「ふ〜なんだっていうんだ・・・」
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ほたる | 「お兄ちゃん傷の方は大丈夫?」
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亮 太 | 「あれ、背中に刺さっているのにいたく無いなあ」
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| 背中の爪を引っこ抜いてみると、爪の先に手袋がついていた。
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亮 太 | 「ポケットに入れたはずがいつの間にか背中のところにあるなんて・・・」
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ほたる | 「運が良かったねお兄ちゃん」
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亮 太 | 「だな」
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| なにげにほたるの頭を撫でる亮太。
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亮 太 | 「それにしてもあいつらはいったい・・・」
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| 謎の襲撃、突然のらららのいとこの登場、何が何やらさっぱり分からず仕舞い。
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亮 太 | 「ところで澄子さんは?」
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ほたる | 「多分寝てる」
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亮 太 | 「・・・・・・明日なんて言おうかな・・・」
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| そして夜は明けていく。
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