ららら/丗陸話

運命

サトリ「四月様・・・」
    四月より先に、二人で住んでいるアパートに戻る。
    部屋にはとくに余計な物もなく、ただいきるために必要な物しかおいてはいない。
    サトリは机の前に座る。
    そして机の上に置いてあった、林檎を掴む。
    すると林檎から水分が勢いよく流れ落ちる。
    さらに林檎はあっという間に枯れる。
    サトリの腕は水を吸い出したり、水を放出することが出来る異能力の使い手である。
    この力がゆえに以前イジメが絶えなかった。
    一年前・・・
学生A「うわあ〜なんだこいつ、変な奴」
学生B「里瀬さんって変ねえ」
    幸い最初の頃は気味悪がられるだけでそれ程実害はなかったが、ある日その実害が発生し
    た・・・
    それは女子トイレでのこと・・・
    サトリが個室に入ったところいきなり上から水がふってきた。サトリは突然のことに立ち
    すくんでしまった。
    外からは嘲笑うかのような笑いがこだまする。
    サトリはただ泣くしかできなかった。
    突如笑い声が止まる。
四 月「腐ったゴミねえ」
女学生「な、なによ・・・」
    ズグゥ、バシシ、ビシィ!
    三人の女学生はトイレから吹っ飛ばされる。
四 月「大丈夫?」
サトリ「・・・・・・」
    中にいたサトリは何が起きたかわからなかったため、ただおびえ続けるだけで声が出なか
    った。たまりかねた四月は扉を開ける。
    そこにはずぶぬれになったサトリがいた。
四 月「本当にここの学校の連中はゴミが多くて困るわねえ、大丈夫あなた?」
サトリ「・・・」
    何も答えない。
四 月「ああもう焦れったいしゃきっとしなさいよ!」
    四月はサトリを立たせる。
四 月「いい、あなたもやり返すくらいの気構えがないと生きてはいけないわよ」
サトリ「・・・は・・・い・・・」
四 月「返事が小さい!」
サトリ「はい・・・」
四 月「よし、あなたは今日から私の部下ね」
サトリ「???」
四 月「あなたをもうイジメを受けないくらい鍛えてあげるわ」
サトリ「・・・・・・」
    サトリはその時何かを決意したかのように返事を返す。
サトリ「お願いします」
    その日から四月とサトリの二人三脚が始まる。
    そしてサトリは四月から武道を学びイジメとも向かい合った。
    あのときなぜ四月がサトリを助けたかというのは偶然であり、下心や安っぽい正義心から
    ではない。ただそういうことが許せなかった。体が勝手に動いたというわけである。
    四月は学校では大人しくいたのだが、この一件から四月に好感を持つ物が増えたそうであ
    る。しかし四月はサトリ以外は周りに人を置くことはしなかった。ゆえに軍団のような物
    とかは出来ることはなかった。
    そして・・・
    外に夕日が沈む頃・・・
    サトリは疲れたのか眠りに入っていた。
サトリ「・・・・・・」
    すやすやと眠っている。
    そこへ四月が帰ってくる。
四 月「ただいまサトリ・・・サトリ?」
    眠っているサトリを確認。
四 月「・・・起こしちゃ悪いわね、御飯を作ってから起こしましょ」
    ちなみに四月は実家に帰るように言われているものの、大半はここにいる。
    四月は買ってきた野菜や肉を出して調理し始める。
    トントントントントントン・・・
    見事な包丁さばきによって次々と料理が出来ていく。
    出来上がった物は炊き込み御飯と大根の味噌汁と豚肉の生姜焼きである。
サトリ「うう・・・」
    料理のにおいで目を覚ます。
四 月「起きちゃった」
サトリ「はい、ついウトウトと・・・」
四 月「まだ寝ぼけてる?」
サトリ「すみません四月様・・・」
四 月「家の中では様は付けないの、呼び捨てで良いのよ」
サトリ「そんな呼び捨てなんて、最低でもさん付けにしないと・・・」
四 月「ふふふ、これで完全に目が覚めた?」
サトリ「あっ」
    笑い出す二人。
    そして二人食事を始める。
    食事中はテレビを見ることもなくただ黙々と食事をする。
四 月「さて」
    四月はサトリを抱擁する。
四 月「あなたは誰にも渡さないわ」
サトリ「四月様・・・」
四 月「私の命があるかぎりサトリは私の物よ」
サトリ「はい、嬉しいです」
四 月「食器は明日片づけるとして、今日はもう寝ましょう」
サトリ「はい、すぐに布団を敷きます」
    サトリは押入から布団を出す。
サトリ(四月様、あなたが生ある間は一生懸命仕えます・・・・・・)
    そして辺りはよりいっそう暗くなる。
    そのアパートの前に一人の男が立っていた・・・。
    その男はそこに四月がいることを知っている。
    その男は四月を誰よりも知っている・・・。
帝 鴦「ここが四月のアパートか・・・」
    帝鴦は四月の部屋に向かって足を進める。
    そして・・・
帝 鴦「四月出てこい!!!」
    その声に四月をサトリは目を覚ます。
四 月「今さら何しに来たのよあいつ・・・」
    夜はまだ始まったばかり・・・
    帝鴦と四月の間に何があるのか・・・

あとがき「ゲスト・里瀬サトリ」
ITK「最近身の回りが忙しくなって、なかなか小説を書く暇がない」
サトリ「頑張ってください、人は頑張れば出来ます」
ITK「でも、小説書くのは夜から早朝にかけての短い時間のあいだしか無くて多忙です」
サトリ「では私の水の能力で体を癒してあげましょうか?」
ITK「え、いいの?」
サトリ「はい遠慮せずに・・・」
ITK「なぜ最後の語尾が点三つがつくの?」
サトリ「それは今わかります」
    ザバアーーーーーーン!!!
ITK「ひえええ〜〜〜〜」
    大量の水に押し流されるITK。
サトリ「あらら、出しすぎた」
ITK「ヘルプ〜」

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