| 話は遡って(さかのぼって)亮太が港高に転校してくる一年前のお話。
|
| 一時期預かってくれた澄子おばさんから親戚のおばさんの家に厄介になることになった。
|
| しかしそのおばさんも亮太が中学三年の卒業式前に急死する。
|
| 残った亮太は通う予定だった青木ヶ原高校にいくべきか悩んだ。
|
| しかし幸運な事にどこへと姿を消していた父から急に学費の工面として大金が亮太の口座
|
| に振り込まれた。
|
| そして次の日に一人の少女が手紙をもって亮太の前に現れた。
|
| その少女の名は桜部羽美。亮太が飛行機事故にあったとき、この子も飛行機に乗っていた
|
| が、事故直後に外へと投げ出され不幸中の幸いか命は取り留めることが出来た。しかし羽
|
| 美の両親は結局飛行機事故で帰らぬ人となる。しかも羽美には親戚は無く天涯孤独の身と
|
| なっていた。それを不憫に思った亮太の父は養子として桜部家に迎えることにした。しか
|
| し事故の後遺症のため羽美はその日から声を失った。
|
| 羽美は亮太の父とどこへと消えたのだが、今亮太の前に帰ってくる。
|
羽 美 | 「おにい・・ん」
|
| 羽美は長い年月をかけて僅かではあるが声を取り戻していた。
|
亮 太 | 「かなり久しぶりだなおい・・・」
|
| 亮太は羽美の頭を撫でる。
|
羽 美 | 「お父さんから預かってきた・・・」
|
| 羽美は亮太に手紙を渡す。
|
| そして手紙にはこう書かれていた。
|
| 『羽美を頼む、金は送ったからそれで学校に通え』
|
亮 太 | 「なんだかなあ・・・相変わらず親父は素っ気無いなあ〜」
|
羽 美 | 「・・・」
|
亮 太 | 「しょうあないなあ、羽美今日から二人で暮らすか」
|
羽 美 | 「・・・うん・・・」
|
| 羽美は頷く。
|
| そして亮太と羽美は学校から少し離れた山手のアパートを借りることにした。
|
大 家 | 「まあ所々ぼろいから気をつけな」
|
| 木造建築のかなり年季の入った二階建てのぼろアパートである。
|
| ぼろいせいか他に誰も住んでいない、大家も離れた自宅に住んでいる。
|
亮 太 | 「こりゃ思いっきり掃除しなきゃいけないなあ〜」
|
羽 美 | 「うん・・・」
|
亮 太 | 「さー気合入れていくぞー!」
|
羽 美 | 「・・・おー・・・」
|
| 早速二人は掃除姿に着替えあちこち雑巾がけ、はたき、蜘蛛の巣取りを始める。
|
| ぱたぱたぱたぱたふきふきふきふきふき・・・
|
| 3時間一面ぴっかぴかの部屋へと生まれ変わる。
|
亮 太 | 「ふーこれで使いもんになるだろう」
|
羽 美 | 「・・・うん」
|
亮 太 | 「さてと、今度は夜飯でも買ってくるか・・・」
|
| 亮太と羽美は山を降りてしばらくした所にある八百屋に出かける。
|
| そこで二人は何を買うかと品定め。
|
| 亮太はふと辺りを見回す。
|
亮 太 | 「それにしてもここは田舎だな・・・ん?」
|
| 羽美は野菜の見比べ中。意外に細かく観察。
|
| 亮太は何かを見たのかそれが気になりだす。
|
亮 太 | 「羽美、ちょっと気になることがあるからここで買い物しててくれ、おやじさん頼みます」
|
おやじ | 「おう、可愛い子置いておいてどこへ行くんだい?」
|
亮 太 | 「ちょっと野暮用」
|
| 亮太は何かを感じたのかその方角へと突き進む。
|
| その方向へ進むにつれて何かを感じる・・・。
|
| そして・・・
|
??? | 「うう・・うぐ・・・」
|
| 一人の少女が泣いていた・・・。
|
??? | 「うう・・・」
|
| 亮太は少女が泣いていたのを物陰から覗いて見る。
|
亮 太 | 「あ・・・」
|
| 少女の周りに二人、柄の悪そうな男がいた。
|
| その二人はどうやら少女に何かをしているようである。
|
??? | 「いいかげんに泣くな・・・」
|
??? | 「ちょっと頼み事しただけじゃないか・・・」
|
??? | 「だって・・・」
|
| 亮太はゴムの手袋を取る。
|
| そして地面を通して電気を放出、しかも柄の悪い二人に軌道を向けて
|
??? | 「うわーーーーーーー」
|
| 二人は電気ショックで倒れる。
|
??? | 「え?え?」
|
| 少女は何が起こったのか理解できない。
|
亮 太 | 「今のうち逃げるんだー」
|
| 亮太は物陰から叫ぶ。
|
??? | 「は、はい・・・」
|
| 少女は声を出した亮太の方へ逃げる。
|
| しかし亮太はすでに身を隠す。
|
| 亮太の力をあまり知られたくなかったためである。
|
??? | 「えっと・・・」
|
| 少女は迷ったものの家へと帰っていく。
|
亮 太 | 「わり、今戻った」
|
おやじ | 「はあ・・・」
|
亮 太 | 「どしたのおやじさん?」
|
おやじ | 「この子に笑顔に勝てない・・・こんちきしょうもってけ泥棒」
|
| で、大量に食材を安価に入手。
|
亮 太 | 「さてと家に帰るか」
|
| 亮太と羽美はアパートに帰宅。
|
羽 美 | 「お兄ちゃん、これからずっと一緒だね・・・」
|
亮 太 | 「かもな(笑)」
|
| ややふざけて言う亮太。
|
羽 美 | 「ぷー・・・」
|
| ふくれる羽美。
|
| そして・・・
|
亮 太 | 「あ、布団とか一つしかない・・・しまったー買いにいっときゃよかった・・・」
|
羽 美 | 「・・・・・・」
|
亮 太 | 「しかたないなあ、羽美お前がこれで寝ろ」
|
羽 美 | 「お兄ちゃんは?」
|
亮 太 | 「そこらで寝るよ」
|
羽 美 | 「・・・・・・一緒に寝よ」
|
亮 太 | 「ああ、って一応言っとくが俺たち兄妹だからな」
|
羽 美 | 「うん」
|
| 結局二人は一つの布団で寝ることになった。
|
羽 美 | 「いっしょだよ、ずっと・・・(小声)」
|
亮 太 | 「・・・明日から早速学校だな、用意何もしてなかったなあ・・・」
|
| そして二人は眠りにおちる。
|