| 授業中。
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| いつもの様に空を見上げる亮太。
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先 生 | 「であるからして・・・あー次ここ桜部読みなさい」
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亮 太 | 「え、あ、あ、あ、あ・・・」
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| 授業を聞かずに空を見上げていた為、どこを読んでいいの分からずあたふたする。
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| そこへ隣の席の姫野忍がそっと一言。
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姫野忍 | 「56ページだよ・・・(小声)」
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亮 太 | 「あ、ああ・・・」
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| 忍の咄嗟の助けによりその場を切り抜ける事が出来た。
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| そして読み終えて着席する亮太。
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亮 太 | 「ありがとう(小声)」
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姫野忍 | 「どういたしまして(小声)」
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| その光景を見つめる松川琴美と伊藤小鳥。
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琴 美 | 「・・・」
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小 鳥 | 「何か仲良くなってる感じね・・・」
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琴 美 | 「いつの間に仲良くなったのかしら???」
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| ひそひそひそひそひそひそ・・・
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| 琴美の頭部にチョップ一撃。
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姫野忍 | 「何ごちゃごちゃ言ってるのよ」
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琴 美 | 「痛いな〜」
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小 鳥 | 「くすくすくす」
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琴 美 | 「笑うな〜」
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姫野忍 | 「余計な勘繰りはしない」
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琴 美 | 「え〜」
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姫野忍 | 「昨日ちょっとあっただけよ」
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| 昨日の出来事を二人に話す。
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| そして昼休み・・・
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| いつものように亮太は弁当を持って教室を出る。
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姫野忍 | 「・・・ぼー」
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琴 美 | 「さ、早く食べよ」
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小 鳥 | 「今日は鳥料理だ〜」
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琴 美 | 「共食いね」
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小 鳥 | 「面白く無い洒落よ」
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姫野忍 | 「・・・」
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琴 美 | 「どうしたのさっきからぼうっとして?」
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小 鳥 | 「本当、最近の姫変よ」
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姫野忍 | 「ごめん、ちょっと行って来る」
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琴・小 | 「え???」
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| 二人を残してそそくさと去って行く。
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琴・小 | 「・・・・・・」
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琴 美 | 「最近の姫変ねえ・・・」
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小 鳥 | 「本当・・・もしかして男???」
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琴 美 | 「かな???」
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| そしてこちら屋上にて・・・
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亮 太 | 「パクパク」
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| 昨日羽美が料理を失敗して再度作り直した料理の残り物のカレーかけご飯を食べている。
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亮 太 | 「・・・暇だなあ・・・」
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姫野忍 | 「じゃあ一緒に食べませんか?」
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亮 太 | 「い!?」
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| で、さっさと敷物をひいて重箱を用意。
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亮 太 | 「どっからそんなもん用意したんだ・・・」
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姫野忍 | 「どこからでしょう」
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亮 太 | 「つーか、なんでここにいるんだ?おたくには二人の友達がいたんじゃないのか?」
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姫野忍 | 「よく知ってるね私達の事」
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亮 太 | 「嫌でも分かるよ・・・」
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| 亮太は弁当を持って去ろうとする。
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姫野忍 | 「ああ、まってせっかく用意したのに」
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亮 太 | 「勘違いしないでくれ、昨日一度あーいう事があったからって馴れ合うのはごめんだ」
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| 亮太は忍の真正面に顔を近づけて怒りをあらわにする。
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| おびえる忍、しかしそれに対して真っ向から向かい合う。
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姫野忍 | 「私はただ自分がしたい事を実行しているだけ、そしてあなたと一緒にご飯が食べたいの」
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亮 太 | 「・・・だから」
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姫野忍 | 「そういうわけだから一緒にご飯食べよ」
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亮 太 | 「・・・」
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| 勢いに押し返される亮太。
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亮 太 | 「はあ・・・」
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| しかし二人の背後から二人の男がやってきた。
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| 先日姫野忍に絡んできた篠原と小坂である。
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篠 原 | 「・・・」
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小 坂 | 「兄貴、黙ってたらわかんないっすよ」
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篠 原 | 「あ、ああ、お前達、いちゃいちゃしてんじゃねえ」
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小 坂 | 「うわあ〜直球的な喋り方」
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亮 太 | 「・・・・・・」
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篠 原 | 「俺と付き合え」
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小 坂 | 「もろ直球!!!」
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| 頭を抱える小坂。
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姫野忍 | 「・・・」
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| 咄嗟に亮太の腕につかまる。篠原に付き合っているように見せるように。
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亮 太 | 「あの二人か?昨日あんたに絡んできたの?(小声)」
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姫野忍 | 「うん、だから助けて(小声)」
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亮 太 | 「今回限りにしてくれよ(小声)」
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姫野忍 | 「善処します(小声)」
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小 坂 | 「お前達何をくっちゃべってんだよ、しかも篠原兄貴の目の付けてた女と手を組みやがって」
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篠 原 | 「許さない・・・」
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| 小坂はポケットに持っていたナイフを取り出す。
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| 篠原も懐に忍ばせていたメリケンサックを取り出す。
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亮 太 | 「・・・物騒だな・・・」
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| 亮太はそういうとふっと姿を消す。
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| 忍が掴んでいた腕もいつの間にか無い。そしてあっという間に亮太はしのぶと手を組んで
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| いた状態に戻る。
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篠 原 | 「殺す・・・」
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| 二人は気づいていない。
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小 坂 | 「な・・・」
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| いつのまにかメリケンサックとナイフは姿を消していた。
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亮 太 | 「物騒ですよ先輩」
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| そして亮太はいきなり忍をお姫様抱っこをする。
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亮 太 | 「悪いね先輩、あんまし暴力とか嫌いなんで退散させてもらうよ」
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| そういうと亮太は忍を抱えながら屋上から飛び降りた。
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篠・小 | 「なあっ」
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| 驚くのも無理は無い、四階もあるのだから、普通の人なら絶対死ぬ高さである。
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| 亮太はうまく下の木に飛び移りながら何事もなかったかのように地上に到達。
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亮 太 | 「今日はこれ以上学校にいたらやばいから帰るな、姫野はどうする?」
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姫野忍 | 「私もご一緒する」
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亮 太 | 「そっか・・・・・・え?」
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姫野忍 | 「まっこ、いとこ、私早退するね」
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| 地上から自分達の教室に向かって叫ぶ。
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琴 美 | 「何か知らないけど分かったわ」
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小 鳥 | 「頑張ってね〜」
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| 温かく見守る二人。
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亮 太 | 「もしかして俺んちまで来るの?」
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姫野忍 | 「いけない?」
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亮 太 | 「いやちょっとな・・・(家に姫野を連れ込んだら羽美がどういう反応するやら・・・)」
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姫野忍 | 「じゃあ行こう♪」
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| 二人は学校をあとにする。
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