ららら/陸拾參話

少女の思い出

    それはまだ少女が何も知らない頃のことだった。
    少女は頼りになる兄とともに研究所で遊んでいた。
    そして兄はいつも私に甘えさせてくれた・・・
    誰よりも大好きなお兄ちゃん・・・
    その光景が終わることが無いと信じていた。
    しかし運命は二人を突然引き裂いてしまった。
少 女「お兄ちゃん何しているの?」
 兄 「ああこれは、RA実験というものだよ、この実験が成功すれば死んだ人間を生き返らすこ
    とが出来るんだよ」
少 女「ふーん、そしたら死んだおばあちゃんとかも生き返らせることが出来るの?」
 兄 「いや、さすがに無理だよ」
少 女「どうして?」
 兄 「おばあちゃんの体はもう無いだろ、さすがに体が無い人間はもう無理だよ」
少 女「ふーん、じゃあこの人死んでいるの???」
 兄 「ああ、もと犯罪者の体よ、ちょっとした伝手(つて)で体を提供してもらったんだよ」
少 女「ふーん」
 兄 「ああそういえばお前、人前では絶対に白い炎を出すなよ」
少 女「どうして?」
 兄 「下手にマスコミや、桂木一族の誰かに知られたら大変なことになるからな」
少 女「わかった、お兄ちゃんの言いつけ守るね」
    二人が会話をしている中、使用人が入ってくる。
使用人「お嬢様、こんな所にいたんですか、ご主人様からあれほど近づくなと仰せ付かっているの
    に、これ以上ユラに心配させないでください」
少 女「はーい、じゃあねお兄ちゃん」
 兄 「ああ、また懲りずに来いよな」
使用人「若様!」
 兄 「ははは」
    オルマは使用人のユラとともに研究室から出る。
少 女「あーあ、部屋に戻ったらまた勉強か」
ユ ラ「今日は家庭教師の先生がじっくりと教えてくれますよ」
少 女「あーあ〜」
    と、そのとき・・・
    ドガキシャーン・・・
???「ヒーヒャッヒャッヒャッヒャッハハハハ」
 兄 「あ・・・ああああ・・・」
    ドアの向こうから物凄い音と、兄の力尽きるような声が聞こえてきた。
少 女「お、お兄ちゃん!」
ユ ラ「わ、若様!」
    二人は急いで研究室に入る。
    するとそこには真っ赤で染まった研究室があった。
???「まさか、また目を覚ますことが出来るとはなあ」
 兄 「く、くそ・・・そ・・・」
少 女「お兄ちゃん大丈夫」
 兄 「実験は成功した・・・だが既にこの男の人格は崩壊していた。生き返らせてはならない犯
    罪者を俺は・・・」
    兄の体から大量の血が流れ出す。
???「世界に恐怖をもたらした狂乱者ゲイル・エターナル様とは俺のことだ!」
少 女「お兄ちゃん・・・」
 兄 「・・・オル・・・・」
    兄はその場で力尽き、息絶える。
少 女「お、お・・・・・・お兄ちゃん!!!!!!」
ゲイル「ヒーヒャヒャヒャ、次はお前だ」
    狂乱者ゲイルは少女にも手をかけ始める。
    オルマは動転していた為、何もすることが出来ず呆気なくゲイルに首を掴まれる。
ゲイル「小娘を見るとなあ、自分をむかつく目で見ていた娘を思い出すぜ、ヒーヒャヒャヒャ」
少 女「あ、い・・・う」
    首をじわじわと締め付けられる。
ユ ラ「お嬢様」
    ユラは少女を救うべく研究室においてあった木の椅子でゲイルに襲い掛かる。
ゲイル「失せろ屑が!」
    ゲイルは椅子が投げつけられる前に蹴りでユラを壁まで蹴り飛ばす。
ユ ラ「うああ・・・」
少 女「ユラーー!!!」
ゲイル「さーとどめだ」
少 女「・・・」
    もはや喋る力も残っていない。
ゲイル「死ねーーーー!」
    ゲイルは殺す勢いで更に首を締め付ける。
    もはや少女に助かる道はない・・・
    そのとき・・・
    バフォーードカドカドカ!!!
    ゲイルの心臓は突然爆発する。
ゲイル「ぐあああ、どういうことだ・・・」
    RAの実験は完全ではなかった。急激に体を動かした為チップがそれに耐えられなくなっ
    たのである。
少 女「くう・・・」
    少女は締め付けの弱くなった腕を振りほどいて脱出する。
ユ ラ「お嬢様逃げてください・・・」
少 女「・・・さない・・・」
    締め付けられた後遺症のためまだはっきりとは声が出ない。
少 女「・・・ちゃんをよくも・・・」
    少女の両手から白い炎は生み出される。
少 女「あんたなんか・・・・」
ゲイル「やめろ、俺は二度も死にたくない・・・」
少 女「永遠に死んで、地獄へ行きなさい!!!」
    ブホォォォォォォォーーーーーーーン!!!
    白い炎はゲイルに降り注ぐ。
ゲイル「うわああああああああああああああああああああああああ」
    ものの十秒でゲイルは灰となる。
    そして、少女はユラとともに死んだ兄の亡骸を担いで研究所から脱出する。
    研究所は少女の生み出した白い炎によって炎上する。
    数十分後、屋敷の他の使用人の連絡により、駆けつけた消防の手により火は消し止められ
    る。
    そして・・・
 父 「そうか、死んだか・・・」
少 女「お兄ちゃんが、お兄ちゃんが・・・うわああああああああああああああーーーーん!!!」
    少女は一気に込み上げる悲しみで父の中で泣き始めた。
 父 「わしがもっと注意していれば・・・あいつを死なせずに住んだのかもしれない・・・」
少 女「うあああああああああああああああああああ・・・」
 父 「・・・ユラ、亡骸は劣化しないうちにすぐさま保管するのだ」
ユ ラ「保管?ですか?」
 父 「ああ、遺志はこの子が継ぐ」
少 女「・・・私が」
 父 「ああ、お前はもっともっと勉強して兄を生き返らせるのだ」
少 女「生き返らせる・・・」
 父 「ああそうだ、やるんだ、父にはその才能は無い、だからお前がやるしかない」
少 女「・・・お兄ちゃん」
    そしてこの日を境に少女は大きく変貌していくのである。
    嫌いだった勉強も、僅か一ヶ月で大学レベルまで習得する。
    さらにRA理論も親戚のRA博士から習いとり、あっという間にRAを生み出す所まで成
    長する。
    しかしコアとなるチップに関しては、桂木一族の中でも完璧に出来上がることが出来るの
    は、桂木二十四帥の中でも僅か三人、しかも既に実施済みなのは僅か一人・・・
    そう、桂木文貴の手によるらららのみ・・・
    そのらららのチップを解明、もしくは利用することが出来ればRAの完成にこぎつける。
少 女「お兄ちゃん、私お兄ちゃんの為なら何だってやる・・・」
    少女をとめることが出来るものはもはやいない・・・
    さらに頼りにしていた父も、病気で他界する。
    少女はどこまでも突き進む。
    ・・・・・・
    それは僅か一年前の出来事であった・・・。
    そしてその少女の名は・・・
リーザ「小倉、内山が帰還しました」
???「そう、これで後はらららを捕獲するだけね・・・」
リーザ「はい」
???「でも、あの子のまわりには桜部亮太というものがいる、来るなといわれても必ず来るわ」
リーザ「その時は私たちが」
???「ええ、そしてユラもね」
ユ ラ「はい、心得ています」
???「・・・お兄ちゃん待っていてね、もう直ぐだから」
ユ・リ「・・・・・・」
???「ふふふ」
ユ ラ「そろそろ相手も動く頃ですから準備しましょう、リーザ」
リーザ「ええ、では行って参ります、オルマ様」

あとがき「ゲスト・ユラ」
ITK「前置きがかなり長いです(笑)」
ユ ラ「そうですね」
ITK「最初に何故オルマがこういうことをしているかというのを書いておかなくては話が進まな
    いので書きました」
ユ ラ「一話丸々使いましたね」
ITK「はい、RAに関わるもの全てのものに何らかの思い十字架を背負っているという設定です」
ユ ラ「悲劇的ですね」
ITK「まあね、ちなみにオルマがRAを習ったというRA博士は桂木聖華のことです」
ユ ラ「というと後にまた出てきますか?」
ITK「わかんない、まだここまでしか白姫編は確定していないので・・・」
ユ ラ「では後日とい事で」
ITK「あらら、締めくくられちゃった・・・」

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