| とある郊外のスラム街にて・・・
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| そこはまともな人は決して近寄らぬ荒れた所である。
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| 休みでもないのにほとんど人通りも無い道、たまに人がいれば悲鳴が聞こえてくる。
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| そんなところに一人の養父と一人の少女が住んでいた。
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| 養父は定職にも就かず毎日酒びたりの毎日、たまに仕事をするといっても麻薬の取引や、
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| 窃盗、押し込み、恐喝等である。
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| 彼女の養父は皆からこう恐れられた・・・。
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| 狂乱者ゲイル・エターナル
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| ガシャーン!!
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| 二人が住む家からコップが割れる音が鳴り響く。
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ゲイル | 「あーむかつく、俺が何したってんだー!!!」
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| あれまくる。
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少 女 | 「お父さん、落ち着いて・・・」
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ゲイル | 「五月蝿い!」
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| ドガーン!
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| 少女は壁に叩きつけられる。
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少 女 | 「うう・・・・・・」
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| ゲイルは少女の顔を掴む。
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ゲイル | 「口答えするな、お前の学費は俺が出してやってるんだぞ!!!」
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少 女 | 「くう・・・」
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| 養父はそのまま少女をベットにまだ連れて行き投げつける。
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ゲイル | 「くくくくくく・・・」
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少 女 | 「・・・・・・」
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| これがいつもの光景である。
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| 少女は生まれた時から笑うという感情を閉ざしてしまう。
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| そして・・・
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少 女 | 「では学校行ってきます」
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ゲイル | 「け、勝手に行って来い」
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| 少女は唯一学校が逃げ場である。
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少 女 | 「私いつまでこういうことが続くの・・・」
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| そんな少女に光が差し込める。
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| 少女が家に帰った所、家には誰もいない、いつも飲んだ暮れの養父がいるはずなのだが
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| 彼女はいつもの様に帰るかどうかもわからない養父の食事を作る。
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| 結局その日は養父は帰ってこなかった・・・。
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| そして次の日も、また次の日も・・・。
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| 少女は酷い養父であったが、心配で学校にも行かず家で待ち続けていた。
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| そして結果が出る・・・。
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| 養父が居なくなって一ヶ月、突然黒服の男達がやってくる。
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| 黒服の男の中にもう一人女性が立っていた。
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| 彼女はまず自分の名を名乗った。
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ユ ラ | 「お初にお目にかかります、私はこの力少しはなれた桂木家に仕えるユラと申します」
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少 女 | 「は、はあ・・・」
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ユ ラ | 「今日訪れたのは、あなたの養父についてです」
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少 女 | 「養父が何か?」
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ユ ラ | 「先日、あなたの養父はある事件に関わり遺体となって某所で発見されました」
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少 女 | 「・・・そうですか」
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| かすかに笑みを浮かべる。
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ユ ラ | 「あら、意外に驚かないですね」
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少 女 | 「いえ、いつかこうなることを望んでいました・・・」
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ユ ラ | 「・・・・・・そこでご相談なんですが、あなたの養父の遺体を私どもに提供していただけ
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| ないでしょうか?」
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少 女 | 「遺体を?」
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ユ ラ | 「はい」
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少 女 | 「・・・どうぞ好きにしてください、遺骨になっても私は引き取る気はありません」
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ユ ラ | 「そうですか、ありがとうございます」
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少 女 | 「もういいですか、私やることがありますので」
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ユ ラ | 「そうですか、よろしければ私の家に来ませんか?」
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少 女 | 「はい?」
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ユ ラ | 「あなたはこれから一人身でしょ?」
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少 女 | 「・・・私が一緒にいてもお荷物になるだけです」
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| 少女はそう断り家に入っていく。
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黒 服 | 「ユラさん、どういうことですか?我々は遺体の確保だけが目的の筈」
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ユ ラ | 「彼女からは何か得も知れないものを感じたの」
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黒 服 | 「はあ・・・」
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ユ ラ | 「では行きますか」
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| ユラと黒服たちは去っていく。
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| 少女は一人ベットの上で蹲る(うずくまる)
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| ホッとした様な、悲しいような・・・
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少 女 | 「よかった・・・」
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| 彼女はあまりの嬉しさに涙を流す。
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少 女 | 「・・・でも私これからどう生きていけばいいのか・・・」
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| そして次の日。
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| 少女は家の戸に一つの手紙が挟まっているのに気づく。
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少 女 | 「なにかしら?」
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| 少女は手紙を手にする。そして手紙の中身を見る。
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手 紙 | 『もし気が向いたらここに来なさい、ユラ・エルトランス、住所は桂木邸宅まで』
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少 女 | 「・・・」
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| 少女は手紙をそのまま机に置く。
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| そして月日は流れる。
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| ある日少女は、養父が貯めていたお金も使い果たし、生活に困りだした。
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| 分かっていた事だが、いざ直面してみないと実感しないものである。
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| 少女は金を無心する為もあったのか何の躊躇も無く桂木邸へと向かった。
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| しかし・・・
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| 桂木邸から白い炎が炎上していた。
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少 女 | 「!!!」
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| 少女は桂木邸で起きたことをユラより告げられる。
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| そして彼女は養父の起こしたことによって、この家の主の息子が殺されたことを知る。
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オルマ | 「うあああああああああああああ」
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| オルマは兄を失った為涙に暮れていた。
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少 女 | 「私のせいだ・・・父の遺体を渡したためにまた一人不幸な人が生まれた・・・」
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| 少女はそのとき決意した。
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| 一生使ってオルマ様の力になると・・・。父が犯した罪を・・・それが私の戒め・・・。
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オルマ | 「あなたは・・・」
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少 女 | 「私はあなたの兄を奪った人の娘です」
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オルマ | 「そう、なら目的が達成するまであなたは私の物よ」
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少 女 | 「はい」
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オルマ | 「あなたの父は恨むけど、あなたを恨んでいるわけではないからね、ううう、うわあああー」
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| 絶えていた物が一気に溢れ出す。
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オルマ | 「ううああああ・・・」
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| オルマは少女の中で泣きじゃくる
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少 女 | 「・・・この方には私がついていなければ・・・」
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オルマ | 「うううううう」
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| そして少女はその日からオルマの礎となる。
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ユ ラ | 「リーザ、用意はいい?」
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リーザ | 「はい、準備はオッケーです」
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