| あの出来事から五年の歳月が経ちました。
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| 美紗緒は今年高校に通う年にまで成長しました。
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| いまや十五歳になりました。
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美紗緒 | 「・・・ぐう〜・・・」
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| いまはアパートの一室で寝ています。
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天 地 | 「美紗緒ちゃん朝だよ」
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| アパートには天地がいました。
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美紗緒 | 「んん〜もう少し・・・」
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天 地 | 「早く起きないと遅刻するよ」
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| バサッ!!
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| 遅刻という言葉に反応して勢いよく起きあがる。
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| 勢いが良すぎたため近くまで顔を近づけていた天地のおでこに激突。
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天 地 | 「あいつつつ・・・」
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美紗緒 | 「はあ〜思いっきり目が覚めた・・・」
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天 地 | 「朝御飯の準備が出来たからしっかり食べておくんだぞ」
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美紗緒 | 「うん・・・天地さん、今日も遅くなるの?」
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天 地 | 「ん、ああ職員会議があるからな」
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| と、ここで説明。
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| 天地と美紗緒は現在、とあるアパートにて同棲している。
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| 美紗緒の母親と父親はともに海外へ行くことになったのだが、美紗緒は日本に残ると言い
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| 家を飛び出す。そんなとき天地が唐突に美紗緒と一緒に暮らすと柾木家で言い放ったので
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| ある。もちろん阿重霞と魎呼などは思いっきり反対をしたのだが天地の意思は硬く事は通
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| ったのである。そして天地は続けざまに美紗緒と将来結婚するとまで言ったのである。も
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| ちろん二人以外にも反対を受けたのだが砂沙美一人が賛成してくれた。
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砂沙美 | 「天地兄ちゃんがようやく一人の女性を決めてくれたんだもん、しょうがないよ」
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| と、なんとか柾木家の一悶着はおさまるものの、柾木家には居づらくなったために天地と
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| 美紗緒はどこぞにアパートを借りて暮らすことになった。
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| その後天地は一生懸命勉強して近くの高校の教師にとなる。
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| ちなみにその学校は今年から美紗緒をが通うことになるのである。
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| 美紗緒の両親は二人の決意に押されて公認の仲となる。
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天 地 | 「じゃあ俺は先に行ってるから、遅刻はしないようにな」
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美紗緒 | 「わかってる、大丈夫だよ」
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天 地 | 「じゃあ行って来る」
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| 天地は自転車に乗って高校まで通勤するのであった。
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美紗緒 | 「さてと早く着替えないと本当に遅刻しちゃう・・・」
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| 朝御飯も食べて大急ぎで学生服に着替える美紗緒。
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| ピーンポーン
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| ドアベルが鳴る。
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砂沙美 | 「美紗緒ちゃーんいる?」
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美紗緒 | 「あ、待って砂沙美ちゃんいま用意しているから」
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砂沙美 | 「待てないから入るね」
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| 有無を言わさず部屋に入る砂沙美。
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| 砂沙美も美紗緒と同じ高校に通うことになっている。二人が通う高校は県内でも有数の進
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| 学校で、かなり頭が良くないと入れない学校である。二人とも苦労の末ようやく合格を勝
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| ち取ったわけではあるのだが、美紗緒の目的は勉強以外にも天地がいる学校に行きたいと
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| いう淡い願望もあった。
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美紗緒 | 「もう砂沙美ちゃんったら」
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砂沙美 | 「早くしないと遅刻しちゃうよ」
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美紗緒 | 「それにしても砂沙美ちゃん、どうやってここまで来たの?柾木神社からかなりの距離だけ
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| ど?」
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砂沙美 | 「あ、砂沙美ね信幸おじさんに通勤の途中に送ってもらってるんだ」
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美紗緒 | 「車通勤かあ・・・でもここへ来たって事は?」
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砂沙美 | 「あ、大丈夫信幸おじさんはもう仕事に行ったから」
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美紗緒 | 「じゃあどうやって学校に行くの?自転車で二人乗りは危険だし・・・」
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砂沙美 | 「砂沙美走って行くから大丈夫!」
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美紗緒 | 「大丈夫かな・・・」
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| 二人は学校へ向かった。
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砂沙美 | 「ぜーはーぜーはー」
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| 学校の校門前で思いっきり息を切らす。
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美紗緒 | 「だから言ったのに・・・」
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砂沙美 | 「今度から信幸おじさんの車に折り畳みの自転車でものせてこないと砂沙美死んじゃう」
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美紗緒 | 「うふふふふふ」
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| 微笑する美紗緒。
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砂沙美 | 「さてと、クラスの方はと・・・」
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| 玄関前に張り出されているクラス割りを見る。
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砂沙美 | 「えっと・・・・・・・・・やったー美紗緒ちゃんと同じクラスだ!」
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美紗緒 | 「本当?砂沙美ちゃん」
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砂沙美 | 「うん!!」
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| 喜ぶ二人。
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| その二人の後ろに見覚えのある女性が立っていた。
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映 美 | 「二人もこの学校に通うことになっていたんだ」
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砂沙美 | 「あ、映美もここに通うんだ」
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映 美 | 「これからも宜しくね、柾木さん、天野さん」
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美紗緒 | 「こちらこそ」
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映 美 | 「どうやら私もあなた達と同じクラスのようね」
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砂沙美 | 「あ、本当だ」
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| 再度見直す砂沙美。
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映 美 | 「ところで天野さん残念だったわね」
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美紗緒 | 「えっ???」
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映 美 | 「あなたのことが好きだった真嶋君はここの学校の受験に落ちたんだって」
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美紗緒 | 「・・・・・・」
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映 美 | 「ま、とりあえずクラスに行きましょう」
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美紗緒 | 「う、うん・・・」
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| 三人は自分たちのクラスに入る。
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| ざわざわざわ・・・
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| 三人がクラスに入った瞬間、クラスの男子はその美しさに惚の字状態となっていた。
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学生A | 「うわあ・・・綺麗だ・・・」
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学生B | 「よかった、こんなに可愛い子と一緒のクラスなんて」
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学生C | 「名前何っていうのかな・・・」
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学生D | 「天使だ・・・」
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砂沙美 | 「なんかクラスの男子の目がハート状態なんですけど」
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美紗緒 | 「どうしたのかなみんな?」
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映 美 | 「変なものでも食べたんじゃないの?」
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| 鈍い三人である。
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天 地 | 「ほらほら、みんな早く席にすわ・・・って・・・(よりにもよって二人の受け持ちとは・
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| ・・)」
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映 美 | 「先生どんしたんですか?」
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天 地 | 「あ、いやなんでもないみんな席に座って」
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| みんなを席に座らせる。
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| そして学校生活の初日はたんたんと過ぎていった。
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