美紗緒 | 「この服なんかどうかな・・・」
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| 明日のデートに向けてはりきっている美紗緒ちゃんがそこにあった。
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| 唐突に自分の口からあんな言葉がでるなんて思いもしなかったのであろう、それ故デート
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| を楽しむことによってその恥ずかしさを紛らわそうとしている姿がありありと見られた。
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| そしてデートの日が来た。
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| その日に限って天候は土砂降りだった・・・。
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| 美紗緒は心配だった。突然あんなこと言って天地さんがこないのではないのだろうかと、
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| そのうえこんなに雨まで降ってきてさらに不安にかられた。
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| と、美紗緒の心配をよそに天地は訪ねてきた。
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天 地 | 「ご、ごめん遅れちゃって・・・まさか途中で雨が降るなんて思わなかったんで・・・」
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美紗緒 | 「・・・ありがとう(小声)」
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天 地 | 「え、何か言った美紗緒ちゃん?」
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美紗緒 | 「うーん、なにも・・・」
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天 地 | 「じゃいこうか美紗緒ちゃん」
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美紗緒 | 「あっ・・・」
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| 天地は美紗緒の手をつかんだ。
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| そして玄関を後にした。
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| で、流行にうとい天地はどこへ連れてっていいのかわからず岡山市内を歩き回った。
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| 美紗緒はその間一言も口を利くことはなかった。
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| いや、うれしさのあまり言葉を出す状態ではなかったのである。
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| 結局天地と美紗緒ちゃんは映画館へ入った。
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| 映画館の中はがらがらであった。
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美紗緒 | 「あっ・・・」
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天 地 | 「どうしたんだい美紗緒ちゃん?」
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美紗緒 | 「今日天地さん学校じゃなかったんですか・・・?」
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天 地 | 「今日はテスト休みなっだよ」
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美紗緒 | 「あ、そ、そうだったんですか・・・」
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| 再び沈黙・・・
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| そして映画がクライマックスを向かったとき
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美紗緒 | 「天地さん・・・今日はとっても楽しかったです・・・私のわがままにつきあわしてしまっ
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| て・・・」
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天 地 | 「いや、今日は楽しかったよ・・・」
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美紗緒 | 「いい思い出ができました・・・さようなら・・・」
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| 美紗緒は突然立ち上がり映画館から飛び出していった。
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| もちろん天地もその後を追ったが結局その日は美紗緒の姿を見ることはできなかった。
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| 心配性の天地は電話で美紗緒ちゃんの携帯電話に確認の電話をした。
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| そして7コール後
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| 天地と美紗緒は長い時間話をした。
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| そして次の日、美紗緒は家庭の事情から岡山の町を去っていった。
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| だれにもさよならをいわずに・・・
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